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東京地方裁判所八王子支部 平成8年(ワ)2748号 判決

原告

フリーダ・ローズ・バトラー

右訴訟代理人弁護士

饗場元彦

中島克巳

被告

土屋健司

右訴訟代理人弁護士

勝山勝弘

主文

一  カリフォルニア州第一審裁判所ロサンゼルス郡裁判所が、原被告間の同裁判所VC〇一七二三八号事件につき、平成八年五月三〇日に言い渡した別紙判決に基づいて、米貨15万6893.60ドル及びこれに対する平成八年五月三一日から支払済みまで年一〇パーセントの割合による金員の支払につき、原告が被告に対して強制執行をすることを許可する。

二  訴訟費用は、被告の負担とする。

三  この判決は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

主文同旨

第二  事案の概要

本件は、原告が、被告に対して、カリフォルニア州第一審裁判所ロサンゼルス郡裁判所(以下「ロサンゼルス郡裁判所」という。)が、平成八年五月三〇日に言い渡した別紙判決についての執行判決を求めた事案である。

一  基礎となる事実

1  当事者

原告は、カリフォルニア州に居住するアメリカ合衆国市民であり、被告は、日本において米国製自動車輸入販売業を営む日本人である(争いがない)。

2  外国裁判所の確定判決

(一) 原告は、平成六年九月二七日、ロサンゼルス郡裁判所に、被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した(原被告間の同裁判所VC〇一七二三八号事件)(争いがない)。ロサンゼルス郡裁判所は、平成八年五月三〇日、同事件について別紙の判決(以下「本件外国判決」という。)を言い渡した(甲一)。

(二) 本件外国判決は、判決登録日である平成八年五月三〇日から一八〇日間の上訴期間の経過により確定した(甲五)。

3  法定利息

カリフォルニア州法(民事訴訟法六八五・〇一〇条)上、未弁済の金銭判決の元本について、判決言渡しの日から支払済みまで年一〇パーセントの割合による利息が発生し、右の利息についても執行することができる旨、規定されている(甲六)。

4  前記訴訟における被告に対する呼出又は応訴

本件外国判決の訴訟手続において、被告は、特別送達によって訴状及び呼出状の送達を受けた(訴状の送達については争いがなく、その余の事実は甲四の1ないし3)。

5  カリフォルニア州における外国判決承認要件

カリフォルニア州においては、アメリカ統一外国金銭判決承認法を採択しており、同法四条は、カリフォルニア州民事訴訟法一七一三条の四の規定と同一であって、同法条は次のとおり規定している(甲一〇)。

(一七一三条の四 承認拒否事由)

a 外国判決は次の場合には拘束力を有しない。

1  判決が公平な法廷又は法の適正手続を備えていない法秩序のもとで下されたとき

2  外国裁判所が被告に対して対人的管轄権を有していなかったとき

3  外国裁判所が審判事項に対する管轄権を有していなかったとき

b 外国判決は次の場合には承認するを要しない。

1  外国判決での訴訟手続における被告が自ら防御するに十分な時間的余裕をもって当該訴訟手続についての通知を受けなかったとき

2  判決が詐欺によって得られたとき

3  判決の基礎となる訴訟原因・救済請求権が州の公序に反するとき

4  判決が他の終局的で拘束力のある判決に反するとき

5  外国裁判所での訴訟手続が、当該紛争をその裁判所における手続以外の方法で解決すべき旨の当事者の合意に反したとき

6  直接送達のみに基づく管轄権の場合においては、外国裁判所が訴訟の審理にとって不便な法廷地であつたとき

二  争点

本件外国判決は、民事訴訟法一一八条一、三及び四号の各要件を具備しているか。

1  原告の主張

本件外国判決は、民事訴訟法一一八条各号の要件を具備している

(一) 外国裁判所の裁判権(同条一号)

(1) ロサンゼルス郡裁判所における原告の被告に対する請求は、不法行為に基づく損害賠償請求であり、これは持参債務であるから、カリフォルニア州の裁判所に義務履行地管轄がある(同法五条一号)。

(2) 被告は、平成七年六月二〇日、ロサンゼルス郡裁判所において答弁書及び免責・宣言的救済を求める反訴状を提出し、本案について弁論をして、応訴した。したがって、同裁判所に応訴管轄が生じている(同法一二条)。

(3) 原告は、被告がリチャード・フェドラック(以下「フェドラック」という)に対して米貨四万ドルの債権を有していたところ、たまたま、フェドラックが原告から、原告の所有するガルウィングGW一〇五七米国製自動車(以下「本件自動車」という)の日本における売却委託を受けていることを知り、フェドラックが本件自動車の所有者ではないことを告げられていながら、本件自動車を領得して債権の回収をしようと考え、平成四年七月ころ、カリフォルニア州ロサンゼルスにおいて、フェドラック及びその家族を脅迫して、本件自動車をもって債務の返済に充てる旨の停止条件付代物弁済の合意を内容とする日本語交じりの平成四年七月一二日付け書面(甲二の別紙G・乙二)に署名させて本件自動車を領得したうえ、偽造の自動車製造地証明書(甲二の別紙F)を用いて日本において本件自動車を登録し、もってカリフォルニア州ロサンゼルスの原告に損害を生じさせたことを理由に、本件外国判決にかかる訴えを提起したものである。したがって、加害行為地及び損害発生地はカリフォルニア州である旨主張されており、不法行為地管轄(同法五条九号)がある。

(4) 被告は、平成元年から平成四年までの間、輸入する米国製自動車の買い付けのためカリフォルニア州ロサンゼルスを七回訪問しており、昭和六一年以降、観光目的で六回、家族の結婚式のため一回それぞれカリフォルニア州を訪問している。また、被告は、ロサンゼルス郡裁判所において、ロサンゼルスの現地法律事務所に依頼して正式に応訴しているから、カリフォルニア州の裁判所に国際裁判管轄を認めることは、被告に加重な負担を課し、条理に反する結果とはならない。

ロサンゼルス郡裁判所の訴訟において、被告に送達された呼出状には、応訴しないことによる敗訴及び強制執行の危険を警告したうえ、「もし、弁護士を知らない場合、貴殿は弁護士紹介サービス又は法律扶助事務所(電話帳に掲載されている)に連絡することができます」と教示されていたのであるから、被告が訴訟追行を断念せざるを得ない理由はない。

(二) 公序良俗要件(民事訴訟法一一八条三号)

(1) 本件外国判決は、不法行為に基づき金銭賠償を命じたものであり、懲罰的賠償を認めたものではない。

カリフォルニア州の裁判所が、カリフォルニア州を加害行為地及び損害発生地とする不法行為に基づく損害賠償請求事件を審理する際、日本民法における即時取得の制度を斟酌しないのは当然であり、被告は、ロサンゼルス郡裁判所において、この点の具体的主張、立証活動も一切行っていない。

(2) 被告の主張は、ロサンゼルス郡裁判所の本件外国判決の当否を問題としており、原告が本件自動車の所有者ではない、被告が本件自動車の所有権を取得した、被告がフェドラックを脅迫したことはない、不法行為は成立しないなどという被告の主張は、実質的再審査禁止の原則(民事執行法二四条二項)に違反する。

(三) 相互保証要件(民事訴訟法一一八条四号)

カリフォルニア州法上、外国判決は、我が国の民事訴訟法一一八条各号所定の条件と重要な点で異ならない条件のもとに効力を有するものとされている。

2  被告の主張

本件外国判決は、民事訴訟法一一八条各号の要件を具備していない。

(一) ロサンゼルス郡裁判所には、一審裁判所としての土地管轄はなかった。

(1) 被告が応訴した事実はない。すなわち、被告は、ロサンゼルス郡裁判所において、土地管轄のない旨を主張したが、本案についての申立てはしていない。したがって、応訴管轄は生じていない。

(2) 本件自動車は、原告の所有ではなく、フェドラックが原告から資金を借りて購入したものであって、その所有者であるフェドラックにより平成三年一一月に日本国内に輸入され、平成四年六月二日に自動車登録されるまでに、被告が、譲渡担保として所有権を取得したものである。仮に原告が本件自動車の所有者であったとしても、被告は、フェドラックが所有者であると信じ、かつそう信じたことに過失はなかったから、右平成四年六月二日までには、日本において、本件自動車を即時取得したものである。被告とフェドラック間の前記平成四年七月一二日付けの書面は、本件自動車を譲渡担保とする旨の合意を書面に表したものである。

したがって、被告は、平成四年六月当時、日本において、既に本件自動車の所有者となっている(なお、被告が同年七月にフェドラック及びその家族を脅迫した事実もない。)のであるから、被告が本件自動車を保有し処分したとしても、不法行為は成立せず、カリフォルニア州の裁判所には管轄はない。

(3) カリフォルニア州の裁判所に国際裁判管轄を認めることは、被告に過重な弁護士費用の負担を課するものであり、条理に反する。

(二) 公序良俗の事実は争う。

外国判決が我が国においてその効力を認められるためには、その内容のみならず、成立についても、我が国の公序良俗に反しないことが要件とされる。

(1) 前述のとおり、被告は、譲渡担保として、ないしは即時取得によって本件自動車の所有権を取得していたものである。

日本の法例一一条一項は、「不法行為によりて生ずる債権の成立及び効力は、その原因たる事実の発生した地の法律による」と規定し、また同条二項は、「前項の規定は不法行為については外国において発生したる事実が日本の法律によれば不法ならざるときはこれを適用せず」と規定しているから、不法行為は否定されるべきものであった。

しかるに、ロサンゼルス郡裁判所は、右法例一一条一、二項により指定された準拠法を適用して判決をしなかった。

(2) また、被告がした未登録自動車である本件自動車の即時取得の主張について、日本の公序規定である民法一九二条を斟酌しなかった。(カリフォルニア州法には同種の規定がない。)。

(3) ロサンゼルス郡裁判所は、当時本件自動車が日本に存在していたのであるから、その権利の帰属については、法例一〇条一項に基づく準拠法たる日本法を適用して判断すべきであったのにカリフォルニア州の法律を適用して判断した。

(4) 原告は、被告が、フェドラックから譲渡担保として取得した未登録自動車であった本件自動車について、日本の裁判所において民法一九二条による即時取得が認められるのを回避するため、敢えて、カリフォルニア州の裁判所を選択して動産横領の不法行為を主張し、更に管轄原因としてフェドラックやその家族を脅迫して本件自動車を取得したとの虚偽の主張をし、本件外国判決を取得した。このことは、虚偽の証拠により外国判決を詐取したことになり、公序良俗に反する。

(三) 相互保証の事実は否認する。

前記(4)項記載のとおり、本件外国判決は、原告が、カリフォルニア州において、外国判決承認不要の一場合とされていると主張する、「判決が詐欺により得られたときは、外国判決は承認するを要しない」場合に該当するから、相互保証要件を具備しない。

第三  当裁判所の判断

一  国際裁判管轄(民事訴訟法一一八条一号要件)について

1 同条一号の規定する「外国裁判所の裁判権が認められること」とは、我が国の国際裁判管轄の準則によって当該外国判決国の国際裁判管轄権が肯定されることを意味するものである。そして、右国際裁判管轄は、当事者間の公平及び裁判の適正、迅速、実効性を期するという我が国の国際民事訴訟法の基本理念である条理によって決定すべきであって、具体的には、同様の理念に立つと考えられる我が国の民事訴訟法の国内の土地管轄に関する規定を右理念に反しない限度で類推して決定するのが相当と解される。

2  そこで、本件外国判決をしたロサンゼルス郡裁判所の属するカリフォルニア州について本件事件の国際裁判管轄権を肯定することができるか否かについて検討する。

(一) 証拠によれば次の事実が認められる。

(1) 原告のロサンゼルス郡裁判所に提出した訴状における請求原因事実としての主張は、おおよそ次のとおりであった(甲二)。

ア 原告は、平成三年一〇月四日、ガルウィング・カー・インクから新車として製造され、未登録の本件自動車を購入し、その所有権を証する書面として自動車製造地証明書の原本を受領した。原告は、同日、フェドラックらに対し、本件自動車を日本に輸出してこれを売却することを委託し、同人に右自動車製造地証明書の写しを交付した。

イ 被告は、フェドラックに対し、米貨約四万ドルの債権を有している旨主張していたところ、右両名は、平成四年四月、右債権について協議し、フェドラックは被告に対し、同人が日本における本件自動車の売却委託を受けており、同人は本件自動車の所有権を有してはいないが、売却時に委託者から手数料を取得できるので、この手数料から被告に対する債務の弁済をすることができる旨を述べた。また、フェドラックは、その際、被告に対し、本件自動車の所在場所を告げた。

ウ 被告は、平成四年七月ないし八月ころ、カリフォルニア州ロサンゼルスにおいて、フェドラックと前記債務について協議し、その際、被告は同人に対し、同人が債務を弁済しない場合は、同人及びその家族に対し身体的暴力を及ぼす旨を告げて脅迫した。フェドラックは、右脅追により、債務を弁済しない場合には被告が本件自動車を売却することを認め、本件自動車をもって被告に対する債務の弁済に充てる旨記載された日本語交じりの平成四年七月一二日付け書面(甲二の別紙G、乙二)に署名するに至った。

エ 被告は、偽造された自動車製造地証明書の原本と称する文書を使用して、本件自動車を日本において登録した。

オ 被告は、カリフォルニア州において、原告の損害賠償請求に直接関連する行為を行うとともに、日本において動産横領という意図的不法行為をし、これによりカリフォルニア州在住の原告に損害を生ぜしめた。

(2) 被告は、平成元年から平成四年までの間、米国製自動車を買い付けるため、カリフォルニア州ロサンゼルスを七回訪問しており、私用のために、昭和六一年以降、合計七回同州を訪問している(弁論の全趣旨によって成立を認める甲九)。

(3) 本件外国判決にかかる訴状とともに被告に送達されたロサンゼルス郡裁判所の呼出状には、被告が応訴しない場合は、被告が敗訴し強制執行される危険があることを警告する旨の記載がされたうえ、「もし、貴殿が弁護士を知らない場合、貴殿は弁護士紹介サービス又は法律扶助事務所(電話帳に掲記されている)に連絡することができます」と記載されていた。被告は、本件外国判決の訴訟手続当初、現地の法律事務所に依頼して同裁判所に答弁書等を提出し、平成七年一一月二七日には、ロサンゼルス郡裁判所に代理人変更届を提出して自ら訴訟追行することとしたが、その後、右弁護士紹介サービス等を利用することはなかった(甲三、七の1、八の1)。

(二) ところで、民事訴訟法五条九号の規定によれば、不法行為に関する訴訟については不法行為地の特別裁判籍が認められているが、その場合、原告が主張する管轄原因事実である不法行為地を前提として管轄を決するものと解されている。そこで、国際裁判管轄権についても、原則として当該訴訟において原告が請求原因として主張した不法行為の行為地国に一般管轄があると解するのが相当である。

これを本件についてみると、原告は、ロサンゼルス郡裁判所に提出した本件外国判決にかかる訴状において、本件外国判決の請求原因として前記認定のとおり主張し、カリフォルニア州が、被告の不法行為の原因行為の一部がなされた地及び損害発生地であるとしていたものである(ちなみに、甲二及び弁論の全趣旨によれば、本件不法行為の一部を構成する前記平成四年七月一二日付け書面へのフェドラックによる署名がカリフォルニア州内でされていることが認められるから、同州が管轄原因事実としての不法行為地に該当することが明らかである。)。

そのうえ、被告はアメリカ合衆国から自動車等を輸入販売していた業者であり、しかも、平成元年から平成四年までの間に、同国製自動車買付けのためカリフォルニア州ロサンゼルスを七回訪問しており、私用のためにも昭和六一年以降合計七回同州を訪問していること、及び本件外国判決にかかる訴状とともに送達された呼出状には、応訴しない場合の敗訴の危険性、法律扶助の説明が記載されており、被告においても、本件外国判決の訴訟手続当初、現地の法律事務所に依頼して同裁判所に答弁書等を提出したりしていた等の前記事実関係に照らせば、不法行為地であるカリフォルニア州に国際裁判管轄権を認めることが、被告に過大な負担を課し、当事者間の公平を失し、条理に反する結果になるとはいえない。

したがって、カリフォルニア州に本件外国判決に関する訴訟の国際裁判管轄権があったと認めることができる。

3  被告は、被告が日本において自動車登録を完了した平成四年六月二日までには、本件自動車の所有権を承継取得ないし即時取得しているから、被告が同年七月にフェドラック及びその家族を脅迫した事実はあり得ず、被告が本件自動車を保有し処分したとしても、不法行為は成立せず、カリフォルニア州には裁判管轄がない旨を主張するが、これはまさしく本件外国判決の内容的な当否を問題とすることに帰するものであって、実質的再審査を禁ずる民事執行法二四条二項の規定に反するから、それ自体失当といわざるを得ない。

二  公序(同条三号要件)について

1  前示事実関係からすれば、本件外国判決の内容及びその訴訟手続は我が国における公の秩序又は善良の風俗に反しておらず、同条三号の要件を具備しているというべきである。

2  被告は、本件外国判決の内容が、法例ないし民法一九二条に違反する旨を主張する。

しかし、外国判決がその承認要件の一つである同条三号の公序要件を充たすかどうかは、外国判決に我が国における効力を認めることが、渉外事件の国際的協調の理念を考慮しても、なお我が国の基本的ないし根幹的な法秩序ないし制度若しくは道徳的価値観に反する結果となり、是認しえないか否かにより決定すべきものであるところ、被告の右主張は、本件外国判決の事実認定ないし法令解釈・適用(準拠法の選択・適用を含む)の誤りをいうにすぎないものというべきであるから、この主張も実質的再審査禁止の原則に反するものである。

3  被告は、また、本件外国判決が詐取されたと主張するが、原告が虚偽の事実を主張し立証したことにより本件外国判決が取得されたことを認めるに足りる証拠はない。

4  その他、本件記録によっては、本件外国判決の成立手続において、被告の防御権を著しく害し、日本の民事訴訟制度の基本理念である公平、公正の原則に反するような事情があったものと認めることはできない。

三  相互保証(同条四号要件)について

1  前記認定のとおり、カリフォルニア州民事訴訟法一七一三条の四によれば、同州においては、我が国における条件と重要な点において異ならず、又は実質的に同等な条件の下で外国判決を承認するものといえるから、民事訴訟法一一八条四号にいう相互保証の要件を具備するというべきである。

2  被告は、本件外国判決は、原告による虚偽の主張及び証拠により詐取されたものであるから、カリフォルニア州民事訴訟法一七一三条の四b2に該当し、相互保証の要件を具備しないと主張する。

しかし、民事訴訟法一一八条四号にいう「相互の保証があること」とは、我が国が外国判決を承認するのと同様に、当該外国も我が国の判決を承認する場合において、当該外国の定める承認条件が、我が国の条件と重要な点において異ならず又は実質的に同等なものであることをいうものと解すべきところ、被告の右主張は、我が国とカリフォルニア州における外国判決承認の条件が重要な点において異なっているとか、あるいは条件が実質的に同等でない旨を主張するものではないから、採用することができない。

第四  結論

以上の次第で、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法六一条を、仮執行の宣言について同法二五九条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官赤塚信雄 裁判官逸見剛 裁判官菊池絵理)

別紙外国判決の判示〈省略〉

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